Fret work
身を粉にするハードワーカー
フレット はかなりハードワークな部品です
フレット に関する要素はたくさんあるのですが…
ギターやベースのフレットは弾けば弾く程に弦と擦れ合い、摩耗していきます。
摩耗が進んだフレットは弦との接点がいびつな形になり、正確な音程を得る事が難しくなるとともに、チョーキング等の動作の際に引っかかったりしてプレイの 妨げになる事もあります。
摩耗したフレットは背が低くなるため、摩耗していないフレットとの高低差が生じると弦のビビリに繋がったりします。
弾き方やよく使うフレーズのポジション、使っている弦の材質等によって差はあるものの、全く摩耗しないフレットと言うのは無いと思います。
フレットはギターを弾けば弾く程すり減っていく消耗品なのです。
目次
- 擦り合わせとは?
- フレット交換とは?
- フレット交換工賃参考表(PDF)
- Q&A(よくあるご質問)
擦り合わせとは
一つは『擦り合わせ(すりあわせ)』と言う方法。
レベリングとも言います。
これはすり減ったフレットとのバランスを取り戻すためにフレット(基本的には全てのフレット)を削って高さを揃え、その後再びフレットの形を整形する 事でコンディションを回復する方法です。
フレット全体を削るので理屈ではフレット全体が低くなる事になります。
この「擦り合わせ」はフレットが摩耗したときだけでなく、フレット上における問題、
例えばフレット上の弦高を限界まで低く設定したい時には精度の高いフレットコンディションが必要ですし、
ハイフレットでのチョーキングの音詰まりを解消・緩和するために行われたりします。
また、フレットを新たに打ち直した時にも少なからず行われます。新品のギターであっても工場であるいは販売店での調整の際に行われている筈です。こ れが滞っていると新品のギターでも音詰まりやビビリが酷いと言う事になりかねません。
何れにしろ、コンディションを整える目的で行われるのが『擦り合わせ』です。
擦り合わせの工賃
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ボルトオンギターの場合では ¥7,000(税込)
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スルーネック・セットネックの場合では ¥9,000(税込)
別途セットアップ用の弦が必要です。
すりあわせの際にはナット溝の再調整も同時に行われますが、それは工賃に含まれています。
フレットの摩耗が酷く擦り合わせでも対処できないときがあります。
あるいは、フレットの高さ・太さ等を変えたいと思う事もあるかもしれません。(フレットは引き心地を大きく変えうるものです)
そういうときは『フレット交換(リフレット)』が行われます。
フレット交換(リフレット)とは
フレット交換工賃は
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ボルトオンギターの場合 ¥16,000~
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スルーセットネックの場合は 19,000~
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小・中・高・大学生・専門学校生の方は基本工賃から-¥3,000の学割があります。(学生証など証明可能なものをご提示願いますコピーを撮ったりはしません)
フレッチ交換の工程は大まかに、古いフレットを抜き、指板面のコンディションを整え、フレットを打ち込む溝を整え、フレットを打ち込み、フレットの端を切りそろえます。
打ち込んだ後は「擦り合わせ」を行いフレットのエッジ(指板の端の部分)も角をとるように整えます。
また、そのままでは指がフレットのエッジにあたって痛いので…ポジションをスライド移動したときもソフトな感触になるように。
この部分の処理・成形によっては1弦や6弦を押さえた時にフレットから滑り落ちるような状態に なってしまうこともあり、プレイに不具合を生じてしまうのであくまでフレットの角は丁寧に落とします。
ちなみに、フレット交換の際にはフレットが現状よりも高くなる事が多く、ナット溝の高さに問題が生じる事が予想されます。そのためフレット交換は原則的にナット交換も工賃に含めて扱っております。
コンディション確保・カスタマイズの幅が広がる
フレット交換は実はフレットが消耗した時だけ行うとは限りません。
指板面のRを変更したいときや、ポジションマークやインレイをカスタマイズ・修繕したいときなどに、フレットを抜く必要がある事例があります。
*フレットは一度抜いたものを再利用する事はお勧めしておりません。精度の問題やフレット事態のダメージから、再利用するメリットが特にないと考える事と、フレットを再利用しても作業の手間は余計に増えてしまうことに繋がるため、工賃を安くもできないというコスト的な面でのメリットも無いという点が理由です。
交換か擦り合わせかでお悩みの場合もご相談させていただきます。
フレットがガタガタなのでてっきりフレット交換が必要だと思っていたら、実際には交換までは必要でなく擦り合わせで十分であるという例が少なくありません。
フレットの消耗具合は見た目では非常に判断しずらいというのが正直なところです。
見た目よりずっと消耗は少ない例もあれば、逆もあります。
思い込みで判断せず、一度ギターを見せていただければご希望を伺いながらどのような処置がより望ましかご相談させていただきます。
フレットに関する作業のQ&A
フレット交換は高いから『フレット交換するより、新しいギター買った方がいい』
という意見をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
今は非常に安いギターでもある程度高いクオリティの品物が多いこともあり、
ギター本体の購入価格と照らし合わせて割高な工賃が必要だったりすると、ちょっと考えてしまうと言う意見も理解できます。
高いかそうでないかはそれぞれの価値観に因るものですが、私はなるべくギターそのものを消耗品として扱って欲しくないと思っています。
ある意味、フレットが減って困る程弾き込む事が出来たギターは既に良いギターなのでは?
当工房ではフレット交換を可能な限りリーズナブルな価格設定にさせていただいてお ります。
どこよりも安いとは言えませんが、手を抜いてクオリティーを下げる事で価格を下げている訳ではありません。
もっとフレット交換の敷居を下げたいと思ってのギリギリ価格になっています。
(以前は今より安価に設定しておりましたが…これ以上同じ工賃での対応をさせていただくのはそろそろ限界であると判断し、止む無く2018年7月に価格改定を行わせていただきました。しかし、一部学生様のみを対象となりますが-¥3,000の学割価格を設定しております。)
A:セットアップ用の弦(新品1セット)
トレモロ付きのギターではトレモロアームなどの備品もあった方が望ましいです。
これらはきちんと演奏できるコンディションでセットアップを確認するために必要です。
A:その選択肢はあんまりお勧めしません。
なぜなら良い状態で弾ける時間を短くしているだけな様に思えるためです。
擦り合わせは結果的にフレットを良い状態で長く使うための唯一のメンテナンスです。
どうあれ摩耗が進めば最終的には交換になりますが
A:これはですね…。結論から申し上げてできるギターと出来ないギターがあります。
指板面の塗装の様子によって、そもそもフレットを抜く事ができるかどうかが別れてしまうためです。。
メイプル指板の多くのギターでは、製造工程においてフレットを打ち込んだ後で、フレットもろとも塗装し、塗装後にフレット上の余分な塗膜を落としながら調整し仕上げられるという工程を経ています。
この時フレットの根元や横っ腹に塗膜が残っている事が多いのですが、これが厚くしっかりとある様な仕上げのものは指板面の塗装を保全したままフレットを抜く事が困難になります。
フレット抜くための道具が機能しないためです。
場合によってはその部分の塗膜を丁寧に除去してやればフレットを抜く事自体はできるというケースもありますが、これは必ずしもお約束できる話ではないと考えているのが実情です。
可能であることを前提とは出来ない例が多い事に加え、難易度の差も大きいため、決まった工賃を提示しておりません。
また、もし可能であった場合でもローズ指板のギターのようには作業が進行しないことから再塗装仕上げと比べてそうそう安くはなりません。(最低でも¥20,000〜。恐縮ながらローズ指板と同じ価格では対応できません)
コスト面ではなく指板面を残したいというのではなく、現状の雰囲気を残したいというご相談は多くございます。
しかしこれは現物のギターを拝見させていただいた上でないとなんとも判断できません。
メールで画像などを拝見しても基本的に判りません。
実機を拝見した上で、十分にご相談させていただきたい部分です。
- 打ち込みにそれ用の技術とノウハウが必要
- 曲げる、切る、削るという作業の難易度とコストが高い

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