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大事な楽器、長く良い状態で使いたいのは当たり前です

調整?修理?

弾き易さ・弾き難さ

多くのプレイヤーは「弦高」というものを気にします。

それはそうだと思います。

弦高 が高いと押弦は余計な労力を必要とし、弾き易さに直接的に影響します。

低めが好きな方、ペッタペタに低い状態で好きな方、高めが好きな方、やはりそれぞれのプレイヤーに好みがあってもいいと思いますが、この「 弦高 」に関わるギターコンディションの要素は実は複数あります。

 

  • ブリッジのセッティング
  • ネックの反り
  • ナットの溝の高さ
  • ネックジョイントの状態

これらのコンディションのいずれかが変わると弦高には変化が生じます。

こういった要素はちょっとの違いが大きく演奏性に影響します。

音程

  • チューニングしてもどうも音程が合わない。
  • 開放弦はチューニングできても押弦するとどことなく音痴に感じる。

楽器であるにも関わらず音痴であるというのはなかなかヘビーな問題です。

実はフレットが打たれているギターは他の楽器と比較して構造的にいくらか音痴な楽器であると言われる事があります。
しかし多くの場合はそこまで厳密な意味での音痴ではなく、単純に「チューニングがあいにくい」「チューニングがすぐ狂う」と言った問題の方が焦点になると思います。

チューニングに関わる問題もやはり多数の要素が絡みます。
すぐにペグのせいにするのは得策では有りません。
ブリッジ、ナット、ネックのジョイント、ネックのコンディション、フレットのコンディション、ピックアップの高さ・・・
チューニングに関わる部分というのは多いものです。

調整の難しさ

見るからに破損していると言うケースでは何が問題なのかは明らかでしょう。
症状が出た時に、それを改善するためには問題の原因をキチンと把握する事が必要ですが、それなりに心得が無いとなかなか難しい面があるものです。

また、インターネットなどで問題解決のための情報を仕入れても、その情報はなかなか有意義に使えないこともあると思います。
ギターにおいては現実に目の前にある問題をまず正確に見極めることが最も重要であり、最も難しいからです。

そういう場合でも現物のギターを見せていただれれば考えられる原因とそれらを解消するために必要な方法をご提案させていただきます。
そのあとで、作業をご依頼いただくかどうかを判断していただければ結構です。
ご要望に応じて必要な事を必要なだけ施させていただきます。

「思ったより高いから今回はパス」

という場合も遠慮なく言っていただいて結構です。(見積もりは無料です)

ギターをお見せいただければどんな調整が必要であるかも含めて診断し、ご案内させていただきます。

 

しかし、多くの場合、弦高を調整しようとして最初に手を付けられがちなのは1のブリッジです。

ブリッジサドルの高さ

多くのブリッジは6角レンチ等で簡単に弦高をコントロールできるような仕組みになっています。
もちろん、弦高は標準的な数値こそあれ、プレイヤーの好みで適宜上げ下げしていい物だと思いますし、実際にご自身で調整されている方は非常に多いと思いま す。
しかしここで、気がつかないうちに問題が発生する事も少なく無いようです。

「弦高が高くなって弾きにくくなったからブリッジを調整して弦高を下げた」あるいは

「ビビるようになって来たからサドルを上げた。」

これ実はちょっと問題です。
というのも、サドルの高さは本来自然に上がったり下がったりする物ではなく、ブリッジの弦高調整機能は『変わってしまった弦高を戻すため』にあるのではないからで す。
本来は、弦高が変化してしまった原因を改善すべきで、いきなりブリッジでカバーするのは正解とはいえません。

このようなケースでは、多くはネックの反りが原因である事が予想されるため、そのまま弦高を下げたのでは適正なコンディションを保てず、ビビリや音詰まり を誘発してしまいます。
正解は、『ネックの反りを修正してからブリッジを調整する』だと思います。

(実際私が作業するときでも、ブリッジを調整するのは他のコンディションを整えた後です)

ネックの反り(トラスロッド調整)

ブリッジの前にチェックするべき部分として、ネックの反りがあります。

一部を除き、ギターのネックにはトラスロッドというネックの反りを補正するための機構が備わっており、トラスロッド調整をする事でコンディションを改善します。

トラスロッド調整は、弦を張ったままでも行えるギターとネックを取り外すなどの作業をしないと行えないギターがあり、それぞれ工賃には差がございます。

ナット溝(調整あるいは交換)

ナットは単に弦の位置を固定するためにあるのではなく、弦の起点として実に繊細なコンディションを維持し続ける必要があるパーツです。

またナット溝が適正な深さでコントロールされていないと、ビビリや音詰まり、弦高の高さや音程感の悪さに悩まされる事になります。

溝の調整(¥1,500)だけ行う場合と

ナットを交換(¥3,500)する例があります。

当工房では常時在庫しているナット素材として獣骨がございます。

獣骨にも漂白獣骨無漂白獣骨があり、ナット交換の場合はいずれもお好きな方を同じ費用で選択いただけます。

他のナット素材をご希望の場合はご相談ください。

*マンモスの牙・象牙については当工房ではお取り扱いできません。お持ち込みの場合を含めて一切をお断りさせていただく方針です。ご希望の方には恐縮ながら悪しからずご了承願います。

アコースティックギターの弦高

フラットトップのアコースティックギターは、ブリッジサドルに高さ調整機構がないことが普通であるため、調整が必要な場合は削って低くするか、新しいものと交換して高さを確保する事になります。
ですが、この場合でもやはりネックのコンディションが十分に整っている事が先です。
サドルを調整するのはフレットやネックの反りが十分に調整されていることが大前提となります。

調整・よくあるご質問

Q:何故象牙ナット・サドル素材は持ち込みであってもダメなのですか?正規に取引・入手されたものであれば問題なのでは?

A:これは一口にご説明差し上げるのは難しいのですが…これは当工房のスタンスとしてご理解いただくことをお願い申し上げます。

  1. 当工房として象牙自体がギターにとって必ずしも必要と思われる素材であるとは考えない
  2. 象牙の需要というものがある事自体に反対であるというスタンスをとっている

<1について>

象牙が素材として優れていないとは思いませんし、私自身象牙は美しいとも思います。

ただそれがギターに必要であるかとなると、そうでも無いと考えています。

牛骨素材も十分に優れていると考えていますし、Tusq®︎(graphtech)や他の素材も十分に優れています。
代わりが無い素材ではないと考えています。

<2について>

象牙(ゾウの牙)は現在ワシントン条約などで国際的な取引は制限され、日本においても経済産業省のスタンスとして規制の強化が行われています。
しかし、やはり日本においては歴史的にも古くから象牙利用の文化があり、様々な品物に用いられてきたと思われます。
その中でやはり象牙製品である必要がある品物もあっていいと思います。
象牙を使うこと自体に批判的なわけではありません。

しかし、現実問題として、アフリカゾウをはじめ種の存続の危険にさらされていると考えられる生物の素材を利用するために密漁という形で供給が行われているという実態があるという報告もあります。

違法な取引は、無論違法な行為をする者の側に非があると考えますが、最終的な流通需要があること自体も問題の一部として切り離せないと考えます。

当工房としては、この需要は最低限であるべきだというスタンスであり、その最低限需要の中にギターの部材としての需要は必要無いのでは無いかと考えています。

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